臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
細菌性髄膜炎治療中に意識障害が出現し,非痙攣性てんかん重積との鑑別が問題となったCefepime脳症の1例
戸田 諭補山崎 峰雄太田 智大藤澤 洋輔木村 和美
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 56 巻 10 号 p. 678-683

詳細
抄録

症例は64歳男性である.発熱・食欲不振・後頸部痛で当院を受診し,髄液検査より細菌性髄膜炎と診断され抗菌薬が投与された.頭部MRIにて多発性脳梗塞が認められ,感染性心内膜炎由来の細菌性髄膜炎を疑い,CefepimeとGentamicinを投与したところ,投与3日後に傾眠傾向を認め,ミオクローヌス・羽ばたき振戦が出現し,脳波では全般性周期放電及び三相波が認められた.非痙攣性てんかん重積との鑑別が困難であったが,Cefepimeの投与を中止したところ速やかに症状改善を認めCefepime脳症と診断した.Cefepime脳症は頻度が高く,腎機能障害・肝機能障害患者および脳梗塞・髄膜炎のような血液脳関門が破壊される病態で起きやすく,注意深く投与すべきだと考えられた.

著者関連情報
© 2016 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top