2016 年 56 巻 12 号 p. 827-831
2016年4月に起きた熊本地震は,地域住民の生活環境を破壊しただけでなく,医療環境や神経筋疾患患者の病状にも大きな影響を与えた.県内唯一の医学部附属病院である熊本大学の神経内科における地震後の神経筋疾患患者の緊急入院数は,例年の約2倍であった.県内の神経内科の施設においては,建物の損壊により,主に入院診療に支障が出たものの,全体としては十分な受け入れが可能であった.しかし,緊急時の連絡方法や難病患者の受け入れ先確保,患者への情報提供が不十分であったことなどに課題が残った.