臨床神経学
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短報
水疱性類天疱瘡加療中に発症し経過を通じて髄液細胞数が正常であった単純ヘルペス脳炎の1例
中村 善胤垣内 謙祐谷 裕基中嶋 秀人木村 文治花房 俊昭
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2016 年 56 巻 6 号 p. 435-438

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抄録

症例は78歳女性.2ヶ月前より水疱性類天疱瘡に対しステロイド薬の投与を受けていたが急に発熱,嘔吐,意識障害,異常行動が出現.頭部MRIで右側頭葉内側海馬と島回皮質に病変を認め,髄液検査では細胞数4/mm3と正常であったが,HSV-1 DNA(PCR)が検出され単純ヘルペス脳炎と診断した.入院初日からアシクロビル治療を開始し後遺症なく回復した.なお経過中の髄液蛋白は軽度上昇を認めたが髄液細胞数は常に正常であり,水疱性類天疱瘡に対するステロイド薬の影響が考えられた.急性辺縁系脳炎では髄液所見が正常でも単純ヘルペス脳炎を念頭におき,HSV検索とともにアシクロビル治療の早期開始が重要である.

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© 2016 日本神経学会
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