2017 年 57 巻 10 号 p. 595-598
症例は45歳の男性である.急に見えにくさが出現した.対座法で右視野が狭窄していたが,視野欠損の形態や左右差は判別困難であった.ゴールドマン視野検査では左眼で水平・楔状の右視野欠損を,右眼で右視野狭窄を認めた.MRIで左外側膝状体(lateral geniculate body; LGB)に限局する梗塞を認めた.LGBの部分障害では,上・下方視野の部分欠損や水平の楔状視野欠損が生じると報告されており,局在診断に有用である.またLGBを構成する6層各々に,同側・対側網膜の軸索が存在するため,LGB病変での視野欠損は左右一致度が低いことがある.左右一致しない同名性部分半盲では,LGBに限局した病変を想起すべきと考えた.