臨床神経学
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症例報告
長軸に長い脊髄病変を示した抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体陽性の水痘・帯状疱疹ウイルス脊髄炎の1例
志賀 裕二上村 鉄兵下江 豊高橋 利幸金子 仁彦栗山 勝
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2017 年 57 巻 10 号 p. 579-583

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抄録

症例は69歳の男性である.入院10日前頃から左下肢に帯状疱疹(herpes zoster; HZ)が出現し,その後四肢痙性運動不全麻痺を発症した.皮疹は左腰髄L2~4領域と全身にも散在していた.脊髄MRIで延髄下端~胸髄Th2の長軸に長いT2強調像で高信号病巣を示した.髄液蛋白増加,リンパ球優位の細胞増加を示し,水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus; VZV)DNAが陽性であった.血清抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体が陽性で抗aquaporin4抗体は陰性であった.肺炎と肝障害も認め,皮疹の状況から汎発性HZと思われた.HZが引き金となり,抗MOG抗体が産生されて,脊髄炎が発症した病態が推察された.

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© 2017 日本神経学会
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