2017 年 57 巻 8 号 p. 425-429
熊本地震がパーキンソン病患者の臨床症候に影響したかを明らかにするべく,震災前後のUnified Parkinson’s Disease Rating Scale (UPDRS) Part IIIの点数変化を検討した.全体として有意な変化はなかったが,女性(P = 0.0188),軽症例(P = 0.0111),被災度の高い群(P = 0.0184)で点数が増加していた.点数の増加した7例(26.9%)では「筋強剛」,「動作緩慢と運動減少」の項目での悪化が多かった.7例(26.9%)は症状が改善していた.震災に伴う精神的ストレスが大きかったことが予想され,臨床症候の変化に関係していることが示唆された.