臨床神経学
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症例報告
抗N-methyl D-aspartate(NMDA)受容体脳炎と類似した臨床像を呈したシェーグレン症候群関連辺縁系脳炎の1例
吉村 賢二神吉 理枝中野 智
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2018 年 58 巻 4 号 p. 229-234

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抄録

症例は妊娠37週5日の25歳女性,発熱後に異常言動,記憶障害が出現し,辺縁系脳炎と診断した.後に奇形腫ではないことが判明したが,帝王切開の術中に両側卵巣腫瘍を認めた.不穏,口部ジスキネジア,薬剤抵抗性の全身性ミオクローヌス,中枢性無呼吸,自律神経障害を呈したが,免疫治療に良好に反応した.経過から抗N-methyl D-aspartate(NMDA)受容体脳炎が疑われたが抗NMDA受容体抗体は陰性,一方,抗SS-A抗体が陽性であり,唾液腺生検でシェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome; SjS)と診断した.SjSに合併した辺縁系脳炎は過去に数例報告があるが,抗NMDA受容体脳炎様の経過を呈した報告はなく,辺縁系脳炎の鑑別を考える上で重要な1例と考え報告する.

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© 2018 日本神経学会
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