臨床神経学
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症例報告
感音性難聴,大脳深部白質病変が診断の契機となった知能正常の先天性サイトメガロウイルス感染の15歳女子例
中川 慶一角谷 真人松本 浩森内 浩幸池脇 克則海田 賢一
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2018 年 58 巻 5 号 p. 320-323

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抄録

症例は小学校の入学時検診で右感音性難聴を指摘され,原因不明の感音性難聴の診断で経過観察されていた15歳女子である.15歳時に聴覚器精査のため施行した頭部MRIで側脳室周囲深部白質に高信号病変を認めた.血液,脳脊髄液,全脊髄MRIに異常はなく,ウェクスラー成人知能検査では言語性IQ,動作性IQともに正常であったが,難聴,大脳深部白質病変の存在から先天性サイトメガロウイルス(cytomegalovirus; CMV)感染を疑い,保存臍帯を用いたPCR法でCMV-DNAが検出され診断が確定した.知能正常の先天性CMV感染は見逃されている可能性があり,難聴や深部白質病変が診断の契機となりうる.

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© 2018 日本神経学会
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