2018 年 58 巻 5 号 p. 320-323
症例は小学校の入学時検診で右感音性難聴を指摘され,原因不明の感音性難聴の診断で経過観察されていた15歳女子である.15歳時に聴覚器精査のため施行した頭部MRIで側脳室周囲深部白質に高信号病変を認めた.血液,脳脊髄液,全脊髄MRIに異常はなく,ウェクスラー成人知能検査では言語性IQ,動作性IQともに正常であったが,難聴,大脳深部白質病変の存在から先天性サイトメガロウイルス(cytomegalovirus; CMV)感染を疑い,保存臍帯を用いたPCR法でCMV-DNAが検出され診断が確定した.知能正常の先天性CMV感染は見逃されている可能性があり,難聴や深部白質病変が診断の契機となりうる.