臨床神経学
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短報
頭部MRI造影FLAIR像が治療方針の決定や病態の考察に有用であったneuropsychiatric systemic lupus erythematosusの1例
月田 和人三宅 啓史景山 卓末長 敏彦
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2018 年 58 巻 6 号 p. 414-417

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抄録

症例は49歳女性である.2007年に全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus; SLE)と診断され治療中であった.2015年7月上旬,左上肢から左体幹部,左下肢へと広がる数分の異常感覚発作を繰り返し緊急入院した.他覚的には左手の皮質性感覚障害のみ認めた.頭部MRIでは,造影fluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)像でのみ,右中心後回周囲も含み右半球に広範に髄膜の異常造影効果を認めた.異常感覚発作は,神経精神SLE(neuropsychiatric SLE; NPSLE)による中心後回周囲の髄膜炎が原因と考え,プレドニゾロンを増量し,症状と造影FLAIR像での異常造影効果は消失した.NPSLEなど髄膜に炎症をきたしうる病態では,造影剤漏出の少ない軽微な髄膜炎の検出に優れた,造影FLAIR像を積極的に撮像するべきと考えられた.

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© 2018 日本神経学会
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