2019 年 59 巻 11 号 p. 752-757
症例は糖尿病(HbA1c 11.0%)を有する45歳男性.第1病日に急性発症の頭痛,第2病日に左上肢の巧緻運動障害を自覚し当院受診した.頭部MRIで脳実質病変を認めなかったが,magnetic resonance venography(MRV)で上矢状静脈洞の閉塞およびperfusion CTで右中心前回周辺にmean-transit-time(MTT)の延長を認めた.脳静脈洞血栓症と診断し,ヘパリン持続静注を開始した.第8病日に神経症状は消失し,第13病日に頭部造影CTで上矢状静脈洞の開通を認め,MTT延長域は改善し,第23病日に自宅退院した.本症例は重症糖尿病による凝固異常の関与が推察され,その診断にperfusion CTが有用であった.