2019 年 59 巻 3 号 p. 133-138
症例は68歳男性.意識障害を主訴に救急搬送された.来院時のvital signs,血液所見,髄液所見から細菌性髄膜炎および敗血症性ショックと診断し,抗菌薬3剤によるempiric therapyを開始した.後日髄液から肺炎球菌が検出された.頭部MRIで化膿性脳室炎の所見がみられた.抗菌薬治療により髄液所見は改善したが意識障害は遷延し,経過中に肺炎を合併して死亡した.化膿性脳室炎の合併が細菌性髄膜炎に対する抗菌薬治療に影響を与えるかどうかは分かっていない.細菌性髄膜炎の自験例11例では化膿性脳室炎の有無に関わらず,臨床所見や髄液所見を参考に抗菌薬投与期間を決めている例が多かった.