臨床神経学
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症例報告
エドロホニウムテスト偽陽性であったMiller Fisher症候群の1例
米元 康祐野村 俊一清水 愛坂尻 顕一新田 永俊
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2019 年 59 巻 6 号 p. 345-348

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抄録

症例は69歳女性.先行感染後に両側眼瞼下垂,全外眼筋麻痺,運動失調,四肢腱反射低下が出現し,Miller Fisher症候群(MFS)が疑われた.重症筋無力症(myasthenia gravis; MG)の除外のためエドロホニウムテスト(edrophonium test; ET)を施行したところ,眼球運動は改善しないものの眼瞼下垂に改善を認めた.症状の日内変動がないこと,低頻度反復刺激誘発筋電図で減衰現象がないこと,抗アセチルコリン受容体抗体陰性であったことから,MGの合併は考えにくくET偽陽性と考えた.後日,抗GQ1b抗体陽性からMFSと確定診断した.ET偽陽性は他疾患でみられるが,MFSでの報告例はなく,貴重な症例と考えられた.

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© 2019 日本神経学会
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