臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
抗leucine-rich glioma-inactivated 1 protein(LGI1)抗体陽性辺縁系脳炎の1例:発作時脳波活動と脳血流動態の病態指標としての可能性
石橋 はるか音成 秀一郎青木 志郎上野 弘貴飯田 幸治丸山 博文
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2020 年 60 巻 11 号 p. 778-785

詳細
抄録

29歳女性.約2ヶ月の経過でfaciobrachial dystonic seizures,意識障害,認知機能低下を呈した.脳MRIで左側頭葉内側に異常信号を認め,同部位に加えて病変のない側頭葉外側もarterial spin labeling(ASL)で過潅流の所見を呈した.脳波では左側頭部より出現する発作時脳波変化を認めた.血清抗leucine-rich glioma-inactivated 1 protein(LGI1)抗体は陽性で,免疫治療と抗てんかん薬で臨床症状は改善し,ASLでの脳灌流所見と発作時・発作間欠期脳波所見に基づいて免疫治療の調整を行ったことで良好な転帰を得た.抗LGI1抗体陽性辺縁系脳炎の治療指標として脳波活動と脳血流動態の経時的評価が有用だった.

著者関連情報
© 2020 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top