2020 年 60 巻 11 号 p. 743-751
脳小血管病(cerebral small vessel disease,以下SVDと略記)とは,脳微細血管劣化に伴う効率的な脳内微小循環・代謝・ネットワーク維持の困難な状態,及びそれらによる認知・身体機能低下状態を指す.高血圧性細動脈障害を基盤とした1型SVDは,白人に比べ東アジア人に多い.近年,脳小血管負荷を包括的に半定量化するための取り組み,すなわちMRIマーカー評価に基づいたSVDスコア化が注目されている.この概念は「脳小血管負荷に実用的な閾値はあるか?」という新たな疑問を生んだ.SVD画像マーカーの自動解析手法の開発はこの疑問を解き,1型SVD患者への最適な介入法の発見につながるであろう.