2020 年 60 巻 12 号 p. 857-860
症例は63歳男性である.2ヶ月間にわたり遷延する食思不振があり,その後,全身のびまん性筋力低下と認知機能障害を認めた.脊髄MRIでlongitudinally extensive spinal cord lesion(LESCL)を認め,頭部ガドリニウム造影MRIで多発線状造影効果を認めた.脳生検で原発性中枢神経系血管炎と診断した.免疫療法により,頭部及び脊髄MRIの異常信号は消失し,筋力低下と認知機能障害は改善した.認知機能障害を来した患者においてLESCLを認めた場合,鑑別疾患として本疾患を念頭に置き,疑いがある場合には脳生検での確定診断を経て,適切に免疫療法を施行する必要がある.