臨床神経学
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症例報告
短期間の食思不振を契機に重篤なケトアシドーシスを発症した脊髄性筋萎縮症の1例
乾 涼磨藤原 悟川本 未知幸原 伸夫
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2020 年 60 巻 4 号 p. 268-271

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抄録

症例は脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy; SMA)II型の29歳女性.下気道炎で入院後,感染は速やかに改善したが食事量は減少した.腹痛,嘔吐を契機に入院7日目に絶食状態に至ると約12時間後に意識障害を伴うショックとなりICUに入室した.代謝性アシドーシスと尿ケトン陽性からケトアシドーシスと診断,糖補充,インスリン持続静注により速やかに改善.慢性低栄養によるグリコーゲン不足に加え,骨格筋萎縮による糖新生不良やケトン体消費不良が重症ケトアシドーシスを引き起こしたと考えた.SMA患者で絶食後に意識障害を呈する場合,本病態を想起し速やかに治療を開始する必要がある.

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© 2020 日本神経学会
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