2021 年 61 巻 3 号 p. 177-181
症例は47歳男性.細菌性髄膜炎で3回の入院加療歴あり.X年5月某日に頭痛・後頸部痛が出現.3時間後には発熱が出現したため救急搬送となった.診察時,意識清明で発熱,頭痛に加え髄膜刺激徴候を呈した.髄液検査にて多核球優位の細胞数増加と糖低下を認め細菌性髄膜炎の診断となった.治療はステロイドと抗生剤を開始した.鼻汁が多量に出ており,鼻性髄液漏を疑い鼻汁の糖の測定と脳槽シンチグラフィー検査を施行した所,鼻性髄液漏の存在が確認された.髄液漏部位は副鼻腔単純CTにて右篩状板付近と判明した.原因は特発性であり,治療は内視鏡下で修復術を行った.再発性細菌性髄膜炎の原因として特発性鼻性髄液漏の重要性が示唆された.