2022 年 62 巻 9 号 p. 744-747
72歳女性.X−3年から発声時の違和感が出現し,緩徐に増悪した.音節ごとに区切る断綴性発語で,軟口蓋は約2 Hzで律動性に上下運動していた.嚥下内視鏡検査では,軟口蓋から咽頭後壁,喉頭までの律動性収縮を認め,発声時も消失しなかった.嚥下造影検査では,律動性収縮が嚥下反射時に一過性に消失し,誤嚥はなかった.両側歯状核のMicrobleedsと両側延髄下オリーブ核の腫大を認め,Guillain-Mollaret triangleの障害による口蓋振戦と考えられた.口蓋振戦の発声と嚥下の動的関連を含めて報告する.