2023 年 63 巻 11 号 p. 725-731
COVID-19後遺症として認知機能障害が生じることが明らかになっている.危険因子としては,高齢者,重症感染,嗅覚障害の長期間の持続が報告されている.またCOVID-19はアルツハイマー病の危険因子となることや,軽症感染でも視空間認知障害を呈しうることも報告されている.複数の病態機序が指摘されているが,治療に直結する可能性があるSARS-CoV-2ウイルスの持続感染が注目されている.持続感染は,スパイク蛋白による神経毒性,サイトカインによる神経炎症の惹起,細胞融合などを介して認知機能障害を引き起こす可能性がある.予防・治療としてはワクチン接種,メトホルミン,抗ウイルス薬などが期待されている.