症例1は68歳女性で,約1ヵ月の経過で悪化した筋力低下,皮下浮腫,嚥下障害と高CK血症で当科入院となった.症例2は78歳女性で,約5ヵ月間で悪化した筋力低下,両肩痛,皮下浮腫,嚥下障害で当科入院となった.2例とも著明なびまん性皮下浮腫と嚥下障害を認め,経腸栄養が必要であった.皮膚所見がなかったが,筋生検でのMxA発現と抗nuclear matrix protein 2(以下NXP-2と略記)抗体陽性の結果から皮膚炎欠如型皮膚筋炎(dermatomyositis sine dermatitis,以下DMSDと略記)と診断した.抗NXP-2抗体は,DMSDとの関連が示されており,浮腫および嚥下障害例が多いと報告されている.皮疹がなくとも,筋炎を疑う症例で皮下浮腫や嚥下障害がめだつ場合は,抗NXP-2抗体を測定すべきである.
睡眠中の発語,体動が主訴で受診しレム期睡眠行動異常症(rapid eye movement sleep behavior disorder,以下RBDと略記)が疑われた59歳男性.常時監視下ビデオ同時記録による終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography,以下PSGと略記)により発語・体動は睡眠時周期性四肢運動による覚醒(周期性四肢運動関連覚醒指数53.2/時)と関連していることが判明.プラミペキソール投与により睡眠中のイベント,昼間の眠気が改善し,PSG所見と臨床経過から周期性四肢運動異常症(periodic limb movement disorder,以下PLMDと略記)と診断した.RBD様症状をきたすPLMDの存在と常時監視下ビデオ同時記録PSGの詳細な解析の重要性を示した1例である.