臨床神経学
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症例報告
ドネペジル塩酸塩の関与が疑われた体幹姿勢異常の2例
上田 明広小松 研一髙橋 牧郎
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2023 年 63 巻 2 号 p. 85-91

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抄録

症例1は80歳女性.アルツハイマー病でドネペジル塩酸塩(donepezil hydrochloride,以下DNPと略記)を増量した2ヶ月後に首下がり症状が出現した.頸部伸筋のミオパチーを思わせる軽度の筋力低下やMRIでのT2高信号,針筋電図での筋原性変化を認めたが,DNP中止2ヶ月後に姿勢異常は消失した.症例2は78歳男性.レビー小体型認知症でレボドパ,プラミペキソール(pramipexole,以下PPXと略記)を服用していた.レボドパ減量4週後にDNPを開始,10日後に右前方への体幹屈曲が生じた.DNP・PPXの中止とレボドパ増量を行い5ヶ月後に姿勢異常はほぼ消失した.コリンエステラーゼ阻害薬の稀な副作用として体幹の姿勢異常が報告されており,注意が必要である.

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© 2023 日本神経学会

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