臨床神経学
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脳卒中様症状で発症し,髄液所見に乏しく典型的な画像所見を欠いた単純ヘルペス脳炎の1例
坪口 晋太朗若杉 尚宏梅田 能生梅田 麻衣子小宅 睦郎藤田 信也
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論文ID: cn-001033

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抄録

症例は73歳女性.突然の右麻痺で発症し,頭部MRIで左頭頂葉に高信号病変を認め,脳梗塞と診断された.第3病日にミオクローヌス,失語,意識障害が出現し,38°C台の発熱にも気づかれた.第6病日の髄液細胞数は8/μlと増多を認めなかったが,同日よりアシクロビル(acyclovir; ACV)投与を開始.第12病日に,髄液HSV-DNAが陽性と判明し,単純ヘルペス脳炎(herpes simplex encephalitis; HSE)と診断したが,第13病日の髄液細胞数の上昇は17/μlに留まった.画像所見では,病変が前頭葉から視床と帯状回に拡大したが,側頭葉には病変を認めなかった.HSEとして,発症症状,髄液所見,画像所見のすべてが非典型的で,その診断と治療の上で貴重な症例である.

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