論文ID: cn-001191
症例は61歳,男性,35年前に右鎖骨骨折の既往.半年前から右腕の運動時痛があった.ある日,回転性めまい・耳鳴に続く左上下肢脱力としびれ感が出現し,受診した.右後大脳動脈閉塞による脳梗塞と診断し,発症188分後からアルテプラーゼを静注した.症状は一旦改善したが,ヘパリン静注継続中の第9病日に右後下小脳動脈領域梗塞を再発した.血管エコーでは右鎖骨骨折の近傍で右鎖骨下動脈が血栓性閉塞し,近位側に可動性血栓を認めた.右鎖骨骨折は偽関節を形成し,これによる直接の圧迫や周囲の軟部組織の癒着により鎖骨下動脈が進行性に狭窄・閉塞し,盲端内の血栓が逆行性に右椎骨動脈に流入して塞栓症を発症したと推察した.