論文ID: cn-001537
症例は58歳男性.46歳時にパーキンソン病と診断され,53歳よりwearing off,さらにdyskinesiaが出現した.経口薬による運動合併症の管理が困難となり,57歳にレボドパ・カルビドパ経腸用液療法(levodopa-carbidopa intestinal gel,以下LCIGと略記)が導入された.術後はwearing offの著明な軽快を認めたが,dyskinesiaとすくみ足が増悪した.術前からdiphasic dyskinesiaの性質を有していたためドパミン療法を強化したが,dyskinesiaはより激烈になり,すくみ足も増悪した.その後内服薬を漸減し,初期投与量を下回った時点で両症状は軽減した.本患者の特徴はLCIG治療下においてdiphasic dyskinesia,すくみ足が治療強化により共に増悪した点であり,両症状の治療域設定における経験として貴重な示唆を与えた.