論文ID: cn-001703
剖検時75歳の男性.筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断で,侵襲的陽圧呼吸器管理・胃瘻造設状態で在宅療養を継続された.徐々に意思疎通困難が進行した.発症11年目に突如多尿となり,高浸透圧高血糖状態(HHS)と判明した.インスリン治療終了の1年後,発症17年目にも再発し死亡した.全経過18年.運動皮質錐体細胞,脊髄前角細胞は高度脱落,残存神経細胞の細胞質にTDP-43免疫染色陽性.淡蒼球,視床,脳幹被蓋に萎縮,および海馬支脚と黒質の神経細胞脱落を認めた.全身の筋は萎縮し脂肪組織にほぼ置換.糖尿病の発症には骨格筋喪失による糖代謝障害と脂肪組織内外での脂肪細胞の過剰蓄積が関連したと推測した.