論文ID: cn-002125
発症から19年後に神経核内封入体病(neuronal intranuclear inclusion disease,以下NIIDと略記)と診断した女性例を報告する.発症時54歳,診断確定時73歳だった.数時間から数日間持続する半盲,失調,失語,片麻痺など多彩な神経症状が出没し,腱反射消失と縮瞳は固定していた.頭部MRIで深部白質病変と脳萎縮が経時的に増悪したが,拡散強調画像(diffusion weighted image,以下DWIと略記)の異常はなかった.短時間で軽快する多彩な神経症状を呈した別のNIID症例を経験後に再検討し,皮膚生検と遺伝子検査で診断に至った.MRI DWIの異常所見を欠くNIID症例もあり,積極的に鑑別にあげることが重要である.