抄録
注意の瞬きはRSVPされる刺激系列中に2標的が数100 ms以下のSOAで呈示されると第2標的の報告率が低下するといった現象を指し,その原因は記憶レベルの処理不全だとする説が有力である。一方,水野・松井 (2006)は類似した実験で第2標的への単純反応時間を測定し,SOAが数100 ms以下で反応時間が遅延することを見いだした。そして松井・水野 (2006)はこの原因が注意切り替えの困難度にあることを明らかにした。注意切り替えの困難度は感覚レベルの要因である。しかし単純反応時間の遅延も注意の瞬きもSOAが数100 ms以下での処理不全であり,共通の要因が関与した可能性は否めない。そこで本研究ではこの可能性を検証するために,同条件で第2標的の報告率と単純反応時間を測定・比較した。その結果,両者には有意な負の相関関係が見いだされ,注意の瞬きに注意切り替えの困難度が関与している可能性が示された。