抄録
単語の意味活性化の程度は,単語に向けられる注意量によって影響されることが示されている(Smith, Bentin, & Spalek, 2001: attention modulation hypothesis)。しかし,先行研究で使用された子音-母音判断の際に,単語が音読されることで同時に意味処理も行われ,ターゲット処理との両方で意味処理が行われた結果,意味活性化が生じた可能性が残された。本研究では,意味処理が重複して行われる可能性を排除するために,視覚的に提示される単語とは異なるモダリティの聴覚的な注意分割課題を使用した。また,参加者の個人差を考慮するために,注意分割条件を参加者内要因とした。その結果,全ての注意分割条件の間で意味活性化の程度に違いが確認された。これは,Smith et al.(2001)の主張と一致しており,単語の意味活性化が注意資源を必要とすることが示唆された。