抄録
本研究では,ピクトグラムを用いた性別判断における形態情報と色情報の役割について,ストループ様課題を用いて検討した.用いた図柄は,英語や日本語,単純な図柄,複雑な図柄であり,それぞれ形と色が示す性別が一致する場合と不一致の場合があった.色情報は無視し形だけから性別を判断する形態判断課題と,形の情報は無視し色だけから性別を判断する色判断課題を行った.図柄のタイプごとに干渉効果の出現の仕方が異なっていたことより,性別判断における形態情報と色情報の役割や優先性は図柄タイプごとに異なると考えられる.抽象性の高い単純な図柄や,比較的親しみの低い英語図柄のタイプでは形態情報にくらべ色情報がより優先的に処理される一方,母語である日本語図柄については色からの干渉をほとんど受けずに形態からの情報が処理されると考えられる.人間の情報処理の観点からピクトグラムの理解しやすさを考慮することについて考察した.