抄録
大学生の環境配慮行動に及ぼす社会的規範,リスク認知,行動にともなう感情などの影響を,男女大学生216名に対する質問紙調査によって検討した.環境配慮行動はリサイクルへの協力,過剰包装を断るなど4つ行動を取り上げ,その行動実行頻度,社会的規範(一人一人が行うべきか),ゴミ対策としての有効性,行動コスト,行動に伴うネガティブ感情(罪悪感,悪い気分),ポジティブ感情(満足感,誇らしさ)などについて5段階評定を求めた.さらに,環境問題のリスク認知,その解決への責任認知,道徳的人生観などについての項目についても5段階評定を求めた.相関・重回帰分析の結果,規範意識が低い場合は,環境配慮行動をしない場合のネガティブな感情が起こらず,環境配慮行動が実行されないことが明らかになった.一方,環境配慮行動にともなうポジティブな感情が環境配慮行動実行に及ぼす影響は見いだせなかった.