抄録
顕在記憶課題である処理水準モニタリングと再認を用いて,処理反復効果(学習時とテスト時の処理が一致している方が成績がよいという現象)が見られるかどうかを検討した。藤田と畑中のこれまでの研究(e.g.,日心,2006)においては,意味処理と物理処理を対比した場合には処理反復効果が見られていたが,本研究で,「単語の持つ明るさのイメージ」と「単語の使用頻度」という2種類の意味処理を対比させた場合には処理反復効果は見られなかった。見かけ上は課題要求が異なっている処理であっても,課題遂行に必要な処理過程が類似していると,処理の一致・不一致による差は生じないことが確認された。