本研究では,意図的学習教示のもと,54個の日本語複合語を用いて再認課題を実施した.学習時の刺激提示条件として,提示時間が4秒で1回のみ提示される繰り返し無し条件と,1回の提示時間が2秒で2回提示される繰り返し条件を設定した.再認課題では,通常のold刺激,new刺激に加え,学習時に提示された複合語を構成する要素単語の組み合わせを変えたconjunction刺激を提示し,old/new判断を求めた.その結果, old刺激では繰り返し無し条件よりも繰り返し条件でold反応率が有意に高くなった. conjunction刺激では, 繰り返し無し条件と繰り返し条件でold反応率に有意な差は見られなかった. 刺激として複合語を用いた本実験の結果を,符号化時における部分的処理と全体的処理という観点から,顔刺激の場合と比較して考察する.