日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第5回大会
セッションID: o3B-3
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口頭発表
統合失調型と自己運動の予測
*浅井 智久丹野 義彦
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キーワード: 統合失調型, 運動, 予測
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抄録

幻聴や作為体験などの統合失調症の陽性症状は,健常者でも部分的に体験することが分かっている。さらにこれらの幻覚体験は,自己の行為や運動を正確にモニタリングできていない可能性が指摘されている。本研究では,視覚的なフィードバックを与えない状況において視覚到達課題を実施することによって,自己運動の予測と統合失調症傾向の関係を検討した。陽性統合失調症傾向を測定する質問紙(STA)によってレイティングされた実験参加者は,マウス装置を使いモニター上のターゲットをポインティングすることが求められたが,その際カーソルは呈示されず,自己受容感覚を頼りに自己運動を予測する必要があった。その結果,統合失調型高群はターゲットよりも行き過ぎてポイントする傾向が示され,これは自己運動を過小評価していると解釈できる。この知見は,陽性症状は自己運動を正確に自己へと帰属できないためとする説明と整合的なものである。

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© 2007 日本認知心理学会
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