これまでの研究で、意味を同定できない無作為に作られた聴覚刺激を1,2度聴いた学習の効果が、2~3ヶ月後の再認記憶実験の成績に頑健に、また大きな効果として現れる事実を実験的に明らかにしてきた(寺澤・泊・上田,2006)。本発表は、顕著な変化量として検出される効果の大きさに着目し、実験参加者が記憶テストの成績を容易に集計し、自覚できない学習の効果を自らの反応に見出すことが可能な実験材料とその課題セットを開発し、それを約150人の大規模授業で活用した実践例を紹介する。そこでは、自覚することが難しい潜在記憶の存在を、自らの反応データに見出せる状況を作ることに成功した事実を、ビデオ映像を踏まえ紹介する。さらに学術的には、この事実が従来の記憶表象理論に与えるインパクトに説明を加える。