本研究では,近傍語間に認められる類似性が,カタカナ表記語の語彙判断課題における反応時間にいかなる影響を及ぼすのかを検討した。カタカナ3文字表記語に対して,その近傍語(neighbor)との類似性について,形態的類似性,音韻的類似性の2軸で評価し,それぞれの高低に基づいて4条件のカタカナ表記語を選択した。形態的類似性については,近傍語間で異なる文字同士の形態的類似性評定値(川上,2002)に基づき,音韻的類似性については,近傍語間で異なる文字の音素単位の一致不一致に基づき,その評価がなされた。語彙判断課題を用いてこれら4条件に対する反応時間を比較した結果,近傍語間の形態的類似性が,語彙判断時間に抑制的な効果を持つことが示された。