抄録
本研究は、グラフ理論やネットワーク分析の方法論を適用して、日本語連想語データベース(Joyce, 2005, 2006)によって構築した意味ネットワークの特性について調べる。第一に、日本語連想語データベースの概略を簡潔に説明し、第二に、連想語ネットワークを対象にして、RMCLグラフクラスタリング(Jung, Miyake, & Akama, 2006a, 2006b)を中心とするグラフクラスタリング手法の適用を述べる。ネットワーク分析の結果から、構築された意味ネットワークは、スケールフリー性を持つ構造が確認された。また、他のグラフクラスタリング手法と比較して、RMCL手法の有用性を明らかにし、日本語連想語データベースのような大規模言語資料の視覚化のための道具としても活用可能であることを示す。