日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第6回大会
セッションID: O4B-04
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口頭発表4B:身体・運動1
なぞりと模写の神経機構 (1)fMRI研究
*小川 健二乾 敏郎
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抄録

過去の神経心理学研究から,描画における「なぞり」と「模写」との乖離が知られている.例えば頭頂葉損傷をともなう構成障害の患者では,見本図形の模写ができず,代わりに図形の上をなぞってしまう “closing-in”現象が見られる.そこで本研究は,なぞりと模写における神経基盤の違いをfMRIで検討した.実験では,ランダムな形状の曲線を見本として呈示した後,実験協力者はマウスカーソルを使って見本の上をなぞるか,別の場所に模写した.さらに描画の際,見本の視覚がある場合とない場合を設けた.結果から,両側の頭頂間溝では模写でなぞりより高い活動が見られ,さらに見本の視覚がない場合には左頭頂間溝で活動増加が見られた.対して両側運動前野では,視覚ありのなぞり以外の条件で活動増加が見られた.本研究から,模写で必要となる見本から自己中心座標への変換に頭頂間溝が,描画軌道の生成に運動前野が関わる点が示唆された.

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© 2008 日本認知心理学会
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