日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第6回大会
セッションID: O5A-01
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口頭発表5A:記憶2
視覚的作業記憶における能動保持
*成本 忠正
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抄録

本研究では,視覚情報 (encoded as presented) および視覚イメージ (mentally generated) の能動保持が作業記憶システムのいずれのコンポネント機能かを検討した.Baddeley & Logie (1999; Logie, 1995) は,作業記憶システムのvisual cacheで貯蔵されている視覚情報はinner scribeによりリハーサル維持 (つまり,能動保持) されると仮定している.他方,成本 (submitted; Pearson et al., 2001) は,心的に生成された視覚イメージはCEにより能動保持される結果を報告している.本実験の結果,視覚情報の能動保持はvisual cacheの機能であり,よってvisual cacheは単純な受動的なコンポーネントではなく,能動的なコンポーネントであることが示された.他方,生成された視覚イメージの能動保持はCEの機能であることを示した.これらの結果により,視覚情報と生成イメージは同じ視覚表象ではあるが,その能動保持にはそれぞれ異なるコンポーネントが機能していると考えられる.

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© 2008 日本認知心理学会
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