日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第6回大会
セッションID: P1-05
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ポスター発表1:記憶
あのできごとは小学校卒業から「何年後」に起きたのか?
*木暮 照正
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抄録

過去に実際に起きた社会的できごとの生起時期を尋ねると,一般的には,実際よりも現在にやや近づいて推定されることが多い(テレスコープ効果)。従来この現象は「何年何月頃に起きたか?」「何年前に起きたか?」と質問することで検討されてきたが,本報告では,「小学校卒業時点から『何年後』に起きたか?」と問う条件群を加えることで,その想起の方向性を操作し検討を行った。じっくりと考えた上で判断を下しやすいと考えられる熟慮傾向者ではこの想起の方向性は生起時期推定の錯誤傾向には影響を及ぼさなかった。これに対して,即座に判断を下しやすいと考えられる衝動傾向者では「小学校卒業」を起点として生起時期推定を行う条件においてテレスコープ効果の程度が増大した。衝動傾向者は「小学校卒業」という時間的目印を強く意識し,それよりも敢えて離して回答しようとする可能性(結果として現在に近づいた回答となる)が考えられる。

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© 2008 日本認知心理学会
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