抄録
本研究では、自伝的エピソード記憶検査(TEMPau)について、仏語オリジナル版著者の許諾の元で日本語版作成を試みることを目的とした。この検査は、5つの時期(幼年期から思春期、青年期、成人期、最近5年間、最近12ヶ月)・4つの主題についてのエピソードについて尋ねるだけでなく、想起時の視点(視野/観察者)と自己認識的意識(Remember;R/Know;K)について尋ね、それらを得点化するものであった。時期ごとにエピソード性、視野視点の回答数、何・どこ・いつについて尋ねたときのR反応数を計測し、それらを従属変数、時期を独立変数とする分散分析を行った結果、エピソード性では時期の主効果に有意な傾向が認められ、視野視点とR反応数では有意な時期の主効果が認められた。エピソード性については明確な時期による差は認められないにもかかわらず、視野視点では、最近12ヶ月が成人期より有意に視野視点が多く、R反応数は、幼年期から思春期が他のすべての時期に比べて反応が少ないことが示された。