抄録
従前の顔研究では刺激として2次元顔を用いてきたが、奥行情報がロスされるため、自然な顔であるとは言い難い。そこで本研究では、顔の3次元撮影を行い普段我々が目にする顔と極めて類似した3次元顔(無表情顔・喜び顔・怒り顔・驚き顔)をコンピュータ上で再現した。実験では顔を左右それぞれの水平方向に1,15,30,45,60,75,90度回転させ、14種類の刺激を作成した。被験者に無表情顔について魅力度評価を、感情表出顔についてそれぞれの感情強度評価を行なわせた。その結果、魅力度に対しては左右の向きに関係なく30,45,60度の顔が90度の顔よりも魅力的であると評価された。喜び顔に対しては右方向に回転した顔において60度を超えると感情強度が低下し、怒り顔に関しては左右の向きに関係なく30,45度の顔が90度の顔よりも怒り強度が高かった。逆に、驚き顔では左右の向きおよび角度による効果は検出されなかった。