抄録
ドットパターンに対するよさ判断について,児玉・三浦 (2008) は知覚的体制化に注目した研究をおこない,その結果,同じパターンを観察しても個人によって体制化 (まとまりの数) が異なり,そのためによさ評定値が異なることを示した。そこで本研究では,Navon課題によって体制化を変えることを試み,個人内で体制化が変化した場合でも,よさ判断は変化するのか検討した。刺激には,7つの黒いドットをランダムに配置したパターンを用いた。参加者はNavon課題 (大域処理条件/局所処理条件) をおこなった後,ドットのパターンについて,1) ドットの配置の「よい-悪い」を7件法で回答することと,2) ドットがどのようにまとまって見えたかを描くことが求められた。結果,Navon課題は,体制化の仕方にも,よさ判断にも影響しなかった。しかし,まとまりの数が少ない方がよさ評定値は高くなるという,児玉・三浦 (2008)の結果は追試された。