抄録
本研究では、空間的手がかりパラダイムを土台として、持続的な聴覚刺激が視覚課題に及ぼす影響空間提示位置の観点から検討した。実験では左右双方から同時にされるRSVP(高速逐次視覚提示;画面上に視覚刺激が次々にごく短時間提示され、その中に含まれるターゲット刺激に対して反応する)課題を用い、課題と同時に画面の左右一方から持続的な聴覚刺激を提示した。また、聴覚刺激は、視覚ターゲットの提示される位置の手がかりとなる場合と無関係の場合があると教示した。ただし,本実験の新奇な点として、手がかり条件であっても実際に聴覚刺激が視覚標的を示す確率は50%であった。それにも関わらず,結果として、手がかりであると教示した場合に提示方向の影響が大きくなった。よって、視覚課題の遂行中に持続的な聴覚刺激を提示した場合聴覚刺激に対して内発的に注意を向けるだけで課題成績へ影響が生じると考えられる。