日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第7回大会
セッションID: P1-33
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健常高齢者における語想起課題の繰り返しの効果
*鈴木 宏幸佐久間 尚子呉田 陽一伏見 貴夫藤原 佳典新開 省二本間 昭
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抄録
語想起課題は高齢者の言語能力を評価する上で加齢変化に敏感であり縦断研究においても広く用いられている。本研究では,「か」で始まる言葉と「動物」カテゴリの2種類の語想起課題について反復効果を検討した。地域住民を対象とする追跡研究において約1年おきに3回受検した211名の結果を分析したところ,「か」では3回の成績変化はみられなかった。「動物」では群全体で見ると変化がないものの,年齢群を向高齢期(60-64歳),高齢前期(65-69歳),高齢中期(70-74歳),高齢後期(75-79歳)の4群に分け比較すると,高齢後期では下降傾向がみられる一方,向高齢期では上昇傾向がみられた。年齢群による成績変化がどのような生成項目で生起するのかを検討するため,項目の生成頻度を高低に分け,2種類の得点化を行い比較したところ,向高齢期は頻度の低い項目得点が2 回目,3回目で増えていた。向高齢期は課題の反復により語彙検索の範囲が広がる可能性が示唆された。
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© 2009 日本認知心理学会
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