日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第8回大会
セッションID: O8-4
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口頭発表8(発達・加齢)
課題切換がもたらす促進効果と加齢
数字選択課題による検討
*原田 悦子浅野 昭祐須藤 智ハッシャー リン
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抄録

近年,認知的制御として課題切替が注目され,局所的課題切替負荷には加齢効果が少なく,総体的課題切替負荷に加齢効果が現れるとされる.本研究は日英二言語環境で行った可変型課題切換タスク・数字選択課題における正答試行の反応時間について,選択属性次元(数の大きさvs形の大きさ),2次元間の大小一致(適合性)の有無(一致vs不一致)に加え,局所的課題切替の有無(直前試行からの課題切替の有無)の効果を検討した.その結果,若年成人では,数の大きさの判断(非優先属性の判断)を求められた場合に切替条件の方が非切替条件よりも反応時間が短い促進効果を示した.高齢者にはそうした現象は見られず,「より効率的な制御方略」が利用困難になるという形の知的加齢効果の存在が示された.加えて日本語圏では適合性効果が常にあるのに対し,英語圏では形の大きさ判断のみに見られる使用言語による結果も示された.加齢効果と言語依存性の関係を含め議論を行う.

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© 2010 日本認知心理学会
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