日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第8回大会
セッションID: O8-5
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口頭発表8(発達・加齢)
自動車の運転に対する展望的記憶とその加齢変化の影響
一時不停止への影響の検討
*高原 美和國分 三輝梅村 祥之武市 芳才和田 隆広土居 俊一
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抄録
本研究では,高齢者の一時不停止における「標識があると思わず,見落とす」という現象を説明するため“展望的記憶”に注目した.実験では一時停止標識探索の手がかりとして交差点の見通しと標識の顕著性を用いて,見落とし率の年齢差を比較した.On-goingタスクとして変化検出課題を遂行させ,展望的記憶(PM)タスクとして,変化検出課題内画像にまれに含まれる一時停止標識に対してキー押し反応をさせた.PMタスクの見落とし率は若年者よりも高齢者で有意に高かった.特に高齢者は,交差点の見通しが良く一時停止標識が1つだけ呈示された画像での見落とし率は,後半のセット程高くなった.本研究より,交差点事故の一因である一時停止の見落としには,展望的記憶の加齢変化が関係していることが示された.今後は,実場面で手がかりとなる環境の特定と時間経過との関係が明らかにされる必要がある.
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© 2010 日本認知心理学会
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