抄録
刺激を繰り返し提示することによって、その刺激に対する認知的・情緒的評価が向上するという現象が「単純接触効果」としてよく知られている。本研究では、もし反復提示によって記憶表象自体がより好印象方向へ変化するとすれば、好印象を持つ画像が元画像と混同されやすくなるだろうと考えと予測し、印象を定量的に操作した画像を用いて実験を行った。作田ら(2009)は、最初に半数の刺激を反復提示し、再認判断、好意度判断の順で実験を行った。その結果、刺激を閾下で提示した場合に、好ましい方向に印象を操作した画像が元画像と混同されやすくなった。しかし、単純接触効果自体は生じなかったため、今回は好意度判断の後に再認判断を行うという手続きで再度実験を行った。その結果、繰り返し提示された刺激でやや好意度が上昇する傾向が見られた。今後、さらに手続きを修正して再検討し、より明確な単純接触効果を確認する必要がある。