抄録
視覚イメージに対して単純接触効果が生起するか否かを検討した。接触段階では,物理的には提示されていない5角形の上に5×5個の黒いドットが提示された。5角形の隣接した頂点に対応する二つのドットが定期的に赤く変化した。実験参加者は,赤いドットの間に線が引かれた状態をイメージし,イメージした図形を記憶するように求められた。好意度評定段階では,物理的には提示されていない5角形の頂点上に数字が提示された。実験参加者は,数字の間に線が引かれた状態をイメージし,イメージした図形の好意度を評定するように求められた。その結果,接触段階でイメージした図形はイメージしていない図形よりも好ましく評価された。このことから,単純接触効果は視覚イメージに対して生起すること,単純接触効果が生起するために刺激の物理的な提示はほとんど必要のないことが示唆された。