抄録
消費者が行う購買意思決定は意図的かつ明示的であり、定期的にかつ頻繁に行われる選択行動の典型例の一つである。この購買意思決定に関して、記憶特性質問紙(Memory Characteristics Questionnaire:MCQ)を含む質問紙調査を高齢者(241名)および大学生(397名)に実施し、定期的にかつ頻繁に行われ能動的な選択行動である購買意思決定に関する自伝的記憶の特性および機能を検討した。その結果、高齢者が想起した買い物に関する記憶においては、レミニセンス・バンプが認められなかった。また想起した買い物は高齢者・大学生を問わずポジティブな評価がなされているが、高齢者は購入時の感情や思考内容,出来事の順序などを詳細で明瞭であると認識する傾向が強いのに対し、大学生は購入した商品への満足度が高く顕示的であることが明らかになった。