日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第9回大会
セッションID: O5-5
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口頭発表5(記憶2)
メタ理解の正確さへのワーキングメモリと文章の難易度の影響
*池田 賢司北神 慎司
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抄録
本研究では,メタ理解の正確さへのワーキングメモリと文章の難易度の影響を検討した。実験参加者は,まずワーキングメモリ容量の測定のために,オペレーションスパンテストに取り組み,その後読解を行った。難易度低条件では,局所的連接性を修正した文章の読解を行わせ,難易度高条件では修正を行っていない文章の読解を行わせた。その後,各文章の理解度を自己評定させ,理解テストを実施した。その結果,メタ理解の正確さへのワーキングメモリ容量と文章の難易度の交互作用的影響が示された。難易度低条件では,ワーキングメモリ容量による正確さの違いはなかったが,高条件では,ワーキングメモリ容量が高い読者の方が,メタ理解はより正確であることが明らかとなった。この結果は,難易度の主効果が有意でなかったことを考慮すれば,文章の処理努力を低減させることが必ずしも正確さの改善に結び付くわけではないということを示唆するものである。
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© 2011 日本認知心理学会
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